クリスティ読破40『杉の柩』DVD『エルヴィス』新伝説誕生!

2022年11月29日

小林賢太郎演劇作品『ノケモノノケモノ』(2014)

はい、こんにちは。          雪華ホーム


20221121駅のパンジー


2014年5月から7月に、全国8か所をまわったお芝居だそうです。
脚本・演出・美術そして、出演もされているのが小林賢太郎さん。
初めての強烈で不思議な体験だったです。『ロールシャッハ』も同じ頃に見ました。
稀有な才能をお持ちの方ですね。

田舎のバス停で、原宮はイルマという謎の男に会います。
原宮はどこにでもいそうな普通の人間です。
でもイルマが登場してから辺りはいつもの世界ではなくなった感じです。
銀河鉄道の夜をふっと思い起こさせるような雰囲気でございます。

イルマは、生き物が創造主によって造られた時の話をしますの。
原宮は、「有名な動物が先に生まれて、余り物で『除け者』が作られた」と主張します。
イルマは、何も言いません。
バスはひたすら終点に向かうのですが、終点って何処なのか?
死の世界なのか、生き物が生まれる瞬間の世界なのか。
見知らぬ街、見知らぬ言語。その中をさまよいます。
これらの空気感も好きだなあ。

自分と言う言葉だけを十回ぐらい、ひたすら繰り返す場面がありました。
自分って何?
原宮は俗物で、所属する会社やブランドの持ち物で自分を肯定してきたのです。
みんなとは違うと見せたい気持ちと、みんなと同じじゃないと不安になる矛盾した気持ちを
もっている平凡な自分。本当は認めたくはないでしょうが、突き付けられます。
とても共感いたします。

「僕は誰かを除け者にすることがある。それは自分が除け者になりたくない時だ」
原宮は悟ります。
イジメだとかを連想しますね。
集団で暮らす他の動物に、こんなややこしい考えは生じるのでしょうか?

舞台にはこの二人と、あと二人ほどが何役も演じます。少なくてもやれるんです。
創意工夫があちこちに見て取れます。
セットは巨大な衝立のようなもので、畳まれたり広げられたりして変幻自在。
しかも、チープには見えない。
マジックでたちまち別の世界を見せてくれるような驚きがありました。
また、プロジェクションマッピングを使うことで、効果を発揮しています。
今まで見た、どぎついプロジェクションマッピングの使い方が馬鹿らしく思えるほどです。
バスになったり、図書館になったりして、楽しい。
舞台の背景にもっと使えばいいなあと思いました。

ふふっと笑わせるような脚本もあり、真剣に考えさせるようなシーンもあったり、
どう見せればお客を魅了するのかを熟知されているのでしょう。

凄く良かったです。
ブラボー!!

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