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2022年01月17日

ヒスパニックの血が騒ぐミュージカル映画『イン・ザ・ハイツ』

はい、こんにちは。          雪華ホーム


20220117チューリップ


『イン・ザ・ハイツ』は、ブロードウェイミュージカルで、
トニー賞4冠とグラミー賞最優秀ミュージカルアルバム賞を受賞したものを、
映画化したものだそうです。
物凄い人数の群舞と、ビートの響きと熱気で、久々にボリウッド映画の興奮を思い出しました。
一曲の長さも相当ありますし、ミュージカルが苦手な方には不向きでしょうが、
私は大好きでございます。
昔は私も、なんで急に歌い出すかな? と思っていたものですから、これは慣れです。たぶん。
あと、良い物に接していていれば、突然受け入れられるようになりますから。
そうなればしめたもの、癖になるんでしょうね。
食べ物もアクの強い物や、刺激の強い物は子供の頃は嫌いなものですが、
だんだんと変わっていくことは日常よくあることですもの。 

マンハッタンの最北端、ハーレム地区のさらに北に位置するワシントンハイツ地区は、
居住する約20万人のうち、およそ7割がヒスパニックというエリアなんだそうです。
偏見や差別があることは知っていたものの、黒人問題と同様に、歴史の話かと
辺境の地にいると感じてしまいます。
日本は受け入れそのものもしていませんから、移民問題もそうは聞こえてきません。
不自由を感じている少数者はいるのでしょうがね。
ニューヨークの有名な橋、マンハッタン橋かブルックリン橋かの区別もつかないのですが、
自由の国が見えているすぐ近くにヒスパニック系の人達がひしめき合って暮らしている
ようなんです。
一言でヒスパニックと言っても、出自は様々で、ドミニカ、プエルトリコ、キューバ、メキシコ
など多様性に満ちています。
お互いを知り合わなければ分断は一層深まるばかりのような気がします。

このミュージカルには多くの若者達が物語を紡ぎます。
ウスナビはハイツで、両親の代から食料品店を営んでいます。
たくさん儲けていつか祖国に帰りたいと夢見ています。
手伝いをしてくれているのが、従弟のソニー。怠惰な暮らしぶりでしたが、
差別反対の活動に参加していたり、大学に進学したいと思うようにもなります。
美容サロンで働きながら、服飾デザイナーを夢見ているバネッサ。
ハイツで唯一、スタンフォード大学に進学できたニーナが、
夏休みにハイツへと里帰りしてきましたの。そこから始まる物語でございます。
元彼にベニー。
この二人のビルの壁面でのダンスは、不思議で面白くて楽しい、初めて見る光景でした。
舞台上のミュージカルではできないことを、
映画という人工の世界で見事に表現してくれました。

音楽のリズムも多様性に満ちていて、
R&B やら、ヒップホップやら、サルサって言うんでしょうか、
私はよく知らないのですが、頭ではなくビートが魂を揺さぶりますのね。
この感覚は言葉を超えます。
ラストに向けて怒涛の迫力には脱帽でございます。時間を忘れます。

脇役も素晴らしくて、良く練られた脚本です。
どんでん返しのお楽しみもありますよ。
役の方の言葉が、きっとどれかは見た人の心にぐっと刺さることでしょう。
私はハイツでのみんなのお母さん的な存在であるアブエラの言葉でしょうか。
若い頃から働いて働いて苦労してきたんです。みんなです。
そんな中で、ある友人は毎日金持ちの邸宅の床を磨き上げた手がボロボロで、
素敵な手袋をご褒美に買い、その傷を隠すことで自分らしくいられたとか、
ニーナの亡くなったお母さんは伝統刺繍がとてもとても上手だったそうで、
綺麗なナプキンをアブエラは大事にとってあったりする逸話ですとか、
「小さなことでいいの、そこにその人の尊厳を示すことが大事なの」と。
今、私は思い出して涙ぐんでしまいます。
「信仰と忍耐」無くしては生きられない日々だったことが容易に受け取れます。

だからこそ、何もかも忘れて踊るし歌うし、陽気に飲んで騒ぐんです。
刹那的なこの瞬間が、眩い色彩と笑顔で綴られると、やっぱり泣いてしまうがな……
ホントは、「めっちゃ楽しいな」ですましてはいけない現実なのでございます。

世界中から差別や偏見を失くしましょう。
ブラボー!!


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