生徒さん自由花お稽古作品選抜『1917 命をかけた伝令』

2020年08月13日

ジョジョとリチャードの共通点

はい、こんばんは。          雪華ホーム

20200807南会津大内宿1



最近感動した映画DVDはクリント・イーストウッド監督の『リチャード・ジュエル』と、
タイカ・ワイティティ監督の『ジョジョ・ラビット ナチスに信奉する少年』でした。

リチャード:
は、90歳になっても定期的に佳作を作り続ける超かっこいいオジ様クリントさん作品。
強いメッセージ性を持ちながら史実を単なるドキュメンタリーではなく、ちゃんとエンタメに
落とし込める技が流石でございます。
冤罪で告訴されたリチャードは、詳しく調べれば調べるほどますます怪しく思える人物で、
実際の結末を私は知りませんでしたから、やっぱり犯人じゃないのかと思いながら見ていたものです。
国もマスコミも怖ろしいこと限りありません。これはどこの国でも似たようなものです。
権力が及ぼす影響の大きさを、実感する立場に立った時に初めて気づいても手遅れなんだと、
現実の怖さを感じます。一般人に対処する術など、どうして持ち得ましょうか。
ある意味子供のように無邪気な被告を弁護するのが、飄々とした弁護士ワトソン。
結果的に、このワトソンの存在を思い出したことが、リチャードの最大の手柄でした。
ワトソンの性格がちょい悪オヤジ的で、危ない感じの怪しさ。
その彼が見せる正義感や使命感によって、リチャードを無罪へと導くのが嫌味ではなく、
いい奴っぽさ満点ですの。
新聞でも徹底的にたたかれるリチャードに、ワトソンが新聞社に、
「さあ、反撃に出ようか」と二人で殴り込み(暴力はしませんよ、もちろん)に行くんですが、
リチャードは終始大きな体を小さくして、結局何も言えなくて、
ワトソンが一人でわめいていたところなど、笑えます。
FBIからの審問前の、ワトソンとの会話も意表を突きます。実際にこんなやりとりがあったのか、
脚本家が作ったのかわかりませんが。今、それが心配か? みたいな。
最後の審問にはリチャードは立派でしたよ、言いたいことは全て言ったという満足感に
満ちていました。落としては上げの憎い演出。
誰からも信じてもらえなかったリチャードをクリントさんだけでも擁護してくれて良かったなと
感謝したい気持ちになりました。

もう一つ、ジョジョの方ですが:
全く新しい戦争映画にトライした異色作だと思います。コメディとペーソスのバランスが実にうまい。
気弱な少年(十歳)が第二次大戦下のドイツで父は出征し、姉は亡くなっていて、
母親と二人きりで暮らしていますの。少年の心の友はヒットラー。立派なナチ隊員になるのが夢
でございます。
八月は終戦記念日ということで、戦争の悲惨さを今日もニュースは伝えます。
そういうバイアスのかかった戦争を知らない世代には(私もですよ)、
戦争は悲惨で、人が死に、何もいいことがない、だから平和がいい。
戦争は悪以外の何物でもないのオンパレード。
そこからヒットラーが大好きな少年をコメディと捉えるのは、
ちゃんちゃらおかしいと思うのでございます。後付けされた薄っぺらな知識によるものだと。
この映画のコメディ的要素はそこじゃないでしょう。
なぜなら、日本の戦時中も国策映画や国策漫画が少年少女をいともた易く
軍国少年少女に変えましたもの。国策落語というものまで当時は作ったらしいです。
むしろ、ほとんどみんな乃木大将が好きで、進軍する日本は素晴らしいと思っていたはずです。
麻薬が効いていた時はただただ楽しくて、ワクワクして、
負けてきたから、覚めざるをえなくなり、苦しみがやってきたのでしょう。
冒頭、ヒットラーに熱狂する群衆の記録映像に、ビートルズの「抱きしめたい」を
もってくるところなど、アイドル並みの人気だったことを表していますもの。
全く同意でございます。それこそが、怖いことの始まりだった。
つらいことばっかりなら、何千年も戦いばかりしているわけはありませんでしょう?
甘味な誘惑に引き込まれない冷静な目を持つことは、実はとても難しいです。
同調圧力に屈しない強さが自分には、あってほしい。……たぶん、無いけど。
その不甲斐なさを、たぶん監督も言いたかったのではないでしょうか。
ですから、逆に、
この映画のラストには、あり得ないほどの生きる喜びや希望を映し出して見せるのだと
思います。ファンタジーを求めて。
反ナチの母親や匿われていたユダヤの女性などの明るくしなやかな人柄を素敵だと思える感性を
失わないでいたいですね。
この映画の中に出てくるナチの大尉がとても印象に残ります。

そして、本日のタイトルである共通点とは、ご存知の方も多いでしょうが、
弁護士ワトソン役、ナチの大尉役の方が同じくサム・ロックウェルさん。
久々に惚れたーいい役者さんですねえ。『グリーン・マイル』や『月に囚われた男』も
忘れられない印象的な役柄でしたね。

ブラボー!!




コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
生徒さん自由花お稽古作品選抜『1917 命をかけた伝令』