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2020年02月03日

フィリップ・K・ディックの『エレクトリック・ドリーム』

はい、こんばんは。          雪華ホーム

2020近所の山茶花



『ブレードランナー(1982年)』は、
ディック原作の『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?(1968年)』の映画化
であることはあまりにも有名です。
『Electric Dreams』シリーズのこのドラマを見ていて、
50年も前のSFの巨匠が今も色褪せていないことに驚きます。
この機械はスマホそのもののよう……ですとか、
未来都市は現代社会にそっくり……だったりするのですから。
後のSF映画やアニメ等に多大な影響を与えていることは確かです。

各話ごとにディックの短編を原作としたものをそれぞれの監督、脚本家、出演者で、
制作されている英米合作の十話です。

活字離れが超加速していますから、
このような的確で、想像力に富んだ映像化を重ねられれば、
原作も若い世代に再び脚光を浴びるかもしれませんね。

それぞれ好みがあるでしょうが、
私のお気に入りは「ありえざる星」と「地図にない町」。

Impossible Planet
未来世界、二人の宇宙ツアー・ガイドが観客を運んでいます。
そこに、何百歳かで余命わずかな女性が
地球に連れて行ってくれるように個人旅行を頼むんです。
彼女は耳が聞こえず、筆談と、とても有能なロボット執事がいつも付き添っています。
調べたところ、地球はもはや消滅しているんですが、大金を払うという依頼に断り切れず、
地球に似た惑星を探し出し、嘘をついて向かいます。
女性の地球で過ごした幸せだった日々の映像の美しさにうっとりしますし、
どれほど、地球を見たいと願っているかがよく伝わります。
記憶の中の彼女の祖父はツアーガイドの一人とそっくりであると告げますの。
当人は次第に良心の呵責に苦しみますし、
どうも、ロボットは向かってる先が地球でないことに早々と気づいているにもかかわらず
言い出せないでいるようにも見えます。
本当は現地に着陸はしない約束でしたが、
ツアーガイドのその一人と彼女は目的地の惑星に降り立ちますの。
懐かしさでいっぱいの地球であると、そう信じて。
ロボットは騙そうとした、別のツアーガイドよりもよっぽど優しい存在ですし、
ときには真実よりも嘘の方が優しさなのではないかと感じた秀作でございます。

もう一つ、The Commuter
駅員のエドは精神障害の息子に悩まされている普通の父親です。
ある日、見知らぬ女性がありもしない駅メイコン・ハイツへの切符を売ってくれとやってきます。
そういう駅はありませんよと、ちょっと目を離すと不思議なことに消えていなくなります。
奇妙なことが続き、吸い込まれるようにエドは列車に乗るんです。
すると、乗客が何人も駅の無いところで窓からどんどん飛び降りるんです。
広い原っぱのような平地に着地し、それぞれ真っ直ぐに歩いて行きます。そこがメイコン・ハイツ。
怪我しないところが、夢のようでございますよ。
この光景が実にシュールな映像で私の夢に出てきそうなほどショッキングですの。
乗るのもまた、みんな上手に走っている列車に乗り込みます(笑)。
メイコン・ハイツは皆が幸せに暮らす街なのです。
不思議な街を出て、リアルな世界に戻ってきますと、そこに息子は存在していません。
夫婦二人で息子の暴力や不信な挙動を抑える毎日がぷっつりと消えたのです。
束の間現実から逃げ出したいというエドの願望だったのかもしれません。
でも、エドはメイコン・ハイツに再び行き、息子を探します。
たいへんな暮らしかもしれないのですが現実を選ぶのです。

未来世界だったり、不思議な世界が魅力的に描かれていますし(この想像力が凄い)、
いつの時代も変わらない人間ドラマが、そこにあります。

ディックさん、ブラボー!!



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