DVD『笑う故郷』涼し気な、いけばな

2018年07月06日

DVD『きみにしか聞こえない』

はい、こんばんは。          雪華ホーム

足立美術館側面から




『きみにしか聞こえない』
2017年の映画なのですが、乙一さんの原作は2001年。
韓国の映画『イルマーレ』は2000年らしいので、同じくらいの時期としかわかりません。
似たような設定のSFとラブストーリーの融合です。
でも、このアイデアはさらに凝っていますの。
タイトルの意味を重くしています。
監督は、これがデビューの荻島達也さん。

長野に住むシンヤと横浜で暮らすリョウが、心の携帯電話のようなもので通信ができるというもの。
携帯電話が出始めた頃でしょうね。
家族を介さないで簡単に個人が繋がれる時代の到来でした。
そこに、一時間の時差が実は存在しているという設定。
以下、ネタバレしてしまいますので、読んでもいいという方のみでお願いします。

リョウは友達がいなくて、寂しく感じているんです。
そこに、テレパシーのようなものが起こります。
離れた二人が、文明の力ではなくて、不思議な力で交流できるんです。
それだけでも楽しいのですが、さらに、
シンヤはろう者であり、幼少期に聴力を失っていて話せない。
リョウが、孤立感を深めている日常以上に、
本当は、シンヤの方が切実に他者を求めていたはずです。
携帯電話を持っていても使えないという、ダブルの設定は新しいでしょう。
シンヤは、そのことをリョウに言い出せないでいます。
交流が深まり、二人の恋心は次第に高まり、
ついに、会いましょうということになるのです。
さあ、、、ご覧になってのお楽しみ。

スマホの現代では、映像で手話通話ができるのかもしれません。
夢のようなことが可能になることはいいのですが、
物語の想像力の翼は、さらに上を飛ばなくっちゃあなりませんね。

一時間のタイムスリップも、中途半端な長さかなあと思っていましたが、
なるほどと、納得しました。微妙な、ほどほどの所なのでしょう。

シンヤとリョウが爽やかで、素敵な青春物語になっていますし、
それぞれの背景となる自然も美しく、心地よい余韻を残してくれます。
ラストはね、バッドエンドです。救ってほしかった気がしないでもありませんが、
それは小さなことでして、佳作であることに変わりありません。
シンヤは、壊れたガラクタを拾ってきては、再生させる達人。
それが、この上もなく生きがいでもあるのでしょう。
強くて心優しい。
その生き方を貫くとしたら、あのラストで仕方ないでしょう。

ヘレン・ケラーの有名な言葉に、
「世界で最も素晴らしく、最も美しいものは、目で見たり、手で触れたりすることはできません。
それは、心で感じなければならないのです」
素晴らしく、美しいものは、耳に届くものでもないことも、付け加えましょうか。

ブラボー!!


sekkadesu at 21:14│Comments(0)

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