フジバカマは、秋の七草のひとつ羽田空港 江戸小路見てきたよ

2010年10月21日

しんまい華道教授・雪華ちゃんの事件簿 その17

はい、こんにちは。     雪華ホーム

  

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いけばな教室を巡る、悲喜こもごもを会話形式のお話にして綴っていこうというカテゴリをつくりました。どれだけ続けられるかわかりませんが。

これは、フィクションであり、登場人物や環境も全て架空のものです。が、当たらずといえでも、遠からじの逸話もありますので、ご自由に想像してくださいませ。

いけばなをとりまく環境はずいぶん時代とともに変わっています。私は今二つのパターンで、誤解や間違ったイメージにとらわれているんではないかと感じています。私たち世代は、お嫁入り前にお茶やお花を習っているのが当たり前な時代のたぶん、最後の世代だと思います。それ以降生まれの方たちにとっては、まったく未知の世界であるという方がけっこう多いですね。いけばなに対する反応を耳にして、こちらも驚くことが多いですし、いけばなをやっていない方たちとの間のギャップをものすごく感じます。周知のものと勝手に解釈していて、説明することを怠っていたりすることもひとつの要因かと思います。それを少しでも身近なものにできたらいいなあと試みました。そしてもうひとつのパターンです。それは、結婚する前にちょっと嗜んでいたわ、という方々にとってです。いけばなの表現方法は、古典芸能の側面もありますので、こちらの基本的な概念は、そうは変わりません。が、自由な発想を元とする芸術的な面は、相当変化しているはずです。不易と流行はともに必要なことですから、時代とともに進化していくいけばなもまたすばらしいものです。ここを、かつてのものと、リセットしていただく必要があるように感じています。

それらの思いをこめて、楽しいお話にできればいいのですが、・・・小説家でもなんでもありませんから、拙いものになりますが、ぜひ読んでみてください。
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<探偵会議>

「伊藤!以外に犯人は考えられない」
と、景子さんの怒りが爆発だ。

「ほーら、呼び捨てですもん。妻子もちとはねー呆れる」
丸山さんの目がキラキラしている。

「やっぱ、伊藤か……」
と雪華ちゃんも入る。

「支店で会ったときも、忙しそうだったですもん。ふたつのケータイを使いこなしていて、なんか感じが悪かったんです。後から思い出すと、変だなって思うことがたくさんあったのに。あの場では、静かないい方だな、なんて思ったりして、大バカだった私」
と、景子さんがまた、大きくため息をつく。

「全く同感、道徳的には問題大あり。でもアリバイが確かだということがわかったの」
と、明菜ちゃん。東京から家族が証言しに来たという噂だ。続けて
「問題の月曜日に東京ファンタジーランドに行ってたらしい」

「犯行は、月曜日の深夜から、火曜日の未明。福島まで戻れば可能でしょ」
とサミール君。

「いいえ、疲れて東京の実家で眠って、翌早朝の新幹線で帰ったんですって」

「車だって帰れる距離だし。違うよ!、薬を食べ物に入れておけばいいんだから、その場にいる必要はないんだ、そうなると、密室の問題だって、鍵の問題だってあまり関係ない」

「無理やり飲ませたわけじゃないってこと?」

「アリバイなんていうものは、いずれ、くずれるわね。怪しい!」
と、サスペンスドラマの見すぎである、丸山さん。

 丸山さんの筋書きは、こうだ。伊藤は、妻子がいるにもかかわらず、智子とつきあい、うまく隠していた。結婚する気などはなっから無く、子供ができたことで、あせった。月曜日には本物の家族水入らずで遊園地に行く予定があり、とても、智子との結婚の承諾に実家の両親に会わせることなどできるはずがない。子供だけを流産させる目的で、カレーの中に薬を入れておいた。夜にそれを食べることを知っていたから。だから、その場に自分はいる必要もない。翌日、智子の様子を見に行くと、死んでいるのを発見した。まさか、本人が死ぬとは思っていなかった。うろたえて、口走った。だいたい自分が殺したと一度は自供したではないか。

「なぜ、そんな危険な第一発見者になろうとしたんだろう?」
っていうのが、解せないサミール君だ。

「流産で、入院したっていう話を期待していたのに、休んでるのが変だなあって思ったのかしら」

「薬屋さんなのに、量を間違えた?」

「カレーをものすごくたくさん、智子が食べたのね、きっと大食い」

「最初っから、母子ともに殺害する目的だったかも」


「次はね。景子さんから先に聞いたことなんだけど、金髪の危ない弟くんは、逮捕されているんです、薬盗難の別件のようだけど。私、智ちゃんのお母さんの様子が気になって、何回か訪ねてるんです。具合が良くないみたいだから。普通ではいられないわ、可愛そうすぎる」
と、明菜ちゃんはお母さんには同情的だ。

「お母さんはなんだかうすうす気付いていたみたいな口ぶりで、『そのうちに警察の世話になるかもしれないけど。未成年の場合の償い方っていうのはどんなことになるんだろうか?』なんて前から言ってたもの。

「務ちゃんは、小さい頃ほんとかわいかったんだけど」
と景子さんはまだ、かばいたい気持ちがある。

「中退するまでの高校生時代には、もう言動が普通でなかったらしい。何をやらかしても驚かない。今は仕事してないから、時間もあるし。病院でもアパートでも知った人ばかりだから、出入り自由よ。事務局長は、カンカンに怒ってましたけど、務にしても尾形にしても病院をうろうろするんじゃないって」

「一番、三面記事にある話」
と雪華ちゃんは、憂う。身内や最も近い人による犯行が多いのだから。想像だけど、通常でない死者が出たときは、一番悲しんでいる近親者に容赦ない取調べが続くんだろうなと思う。

「そういうタイプの少年だったら、毒殺っていうより凶器で直接っていう単純な行動になるような気もするけど」
とサミールくん。

「いいえ、案外ずる賢いとこ、あるの。『頭は悪くないんだよ、やればできるのに』って、お母さんも言ってらっしゃった」

「務、怪しい!」
と丸山さん。

 サミール君が無言で笑う。

 丸山さんの次なる筋書きはこうなる。務は、怪しい連中から多額の借金をしていて、にっちもさっちもいかない状態になっている。返さないと今度こそ、自分の身が危ない。母親は病気がちで、頼れるのは姉の智子だけだ。でも、最近は説教ばかりで、とんとお金をくれない。合鍵は以前から持っている。なんか、自分だけ男といちゃついていて、よろしくやってるのも腹が立つ。あの男は、生っちょろくて胸糞悪い(あら、下品で失礼、これは私の空想だったわ)。姉が死ぬか、自分と母親が死ぬかの二者択一だ。自分の盗んだ薬がまだ手元に残っている分があったので、それを台所にあった、カレーに放り込んでおいた。自殺でも、保険金が出るのを知っているから、他殺と判断されようが自殺だろうが、かまわない。果報は寝て待てだ。


「まだまだ、驚きの新情報でーす。なんとなんと、みどり先輩も、伊藤と付き合っていたみたいな口ぶりです。ですから最近はもっぱらみどり容疑者の追跡中です」
と、明菜ちゃん。

「えー?伊藤ってどこまで!」
雪華ちゃんは、伊藤さんのことを草食系男子と想像していたんだが、と思う。

「みどりの嫉妬は強烈!」
丸山さんは、知った風な物言い。

「うっかりしてたけど、みどりは智子と同じアパートでしょ?ややこしいことになるじゃない」
と、雪華ちゃんはやっぱり信じられない。

「そうです。病院の寮で、智子の他にも4,5人入っています。事務局長室には使うことはそうないでしょうが、スペアキーも紛失したときのために保管してあります」
と、明菜ちゃん。

「だから、伊藤はアパートにはあまり出入りしたがらなかったのかも」
と、景子さん。

「でも、最近のみどりは、ものすごく上機嫌なんです。異常なまでにハイ状態」

「怪しい!」

「だから、話がしやすいんですけどね」

 またまた、丸山さんの筋書きだ。みどりは伊藤と付き合っていた。とてもうまくいっていたかにみえた。年齢的にもそろそろ結婚をあせっていた。ところが、智子と伊藤は急接近をみせ、伊藤はみどりを捨てた。気位の高いみどりの心をふみにじった怒りは、智子に向かった。後輩の分際で許せない。ぼっとして使い物にならない智子を教育したのは私よ。ときどき、部屋を行き来していたので、偶然、部屋に隠してあった、薬を発見した。こっそりそれを持ち帰り、みどりお手製の濃い目の味噌煮込みうどんを作って、夜ご飯にどうぞって差し入れた。これも、死の吉報を待っていれば良かった。あとは伊藤を奪還するのみである。笑いが止まらないみどり。

「こわいよ」
と、丸山さんが、いひひと笑う顔を見つめる雪華ちゃん。

「カレーバージョンと味噌煮込みうどんバージョンがあるのか」
とサミールくん。

「伊藤のことを悪く言ってたんでしょ?」

「あれは、演技だったのね。ほとぼりが冷めるまで、いひひ」

「だから、こわいよ。丸山さん」


「今度は私からね。私は、尾形と連絡を取り合っていたんです。よくよく聞いてみると彼の妹の高校が智子の弟の務と同じだったらしいんです。それで、なんと、務たちのけんかのとばっちりを受けて、妹がおでこに数針縫う怪我をさせられたそうでした。髪で隠してはいるもののうっすらですが、跡が残ってしまったようです。そもそもそれで怒って智子をつけまわしていたとか。その傷害事件が原因で務は退学したようですけど」
と景子さんは、複雑そうな心境。

「あのときの、女子が尾形の妹だったんだ!」
と明菜ちゃんは信じられないという表情である。

「しょうがない弟だな」
とサミール君にまで言われる。

「弟に言ってもらちがあかない。慰謝料の請求なんてできそうにない。八方塞で、智子に会いにきたらしい。尾形の入院中は、智子が務の姉だとは知らなかったようですから」

「尾形の逆恨みって可能性も。周辺をかぎまわっていたから薬のことも務から聞きつけていたかもしれないわ」
と、明菜ちゃん。

「怪しい!」

またまたまた、丸山さんの筋書きである。尾形は、かわいい妹の顔を傷物にした務になんとか復讐したいとチャンスを待っていた。が、悪条件ばかりで、とっかかりがない。務にはしっかりものの姉がいるらしいことを聞きつけ、そこから慰謝料をぶんどれないものかと画策した。が、これがなかなか手ごわい。逆に、ストーカーなどという噂を立てられ、さらに怒り心頭となった。この姉がいなくなれば、結局のところ、務もその母親も困ることになるのだ。智子の殺害を決意した。少し手荒だ。ドアのベルを鳴らし、出たところを押し入って、力づくで薬を出させ、無理やり飲ませた。その後ドアに鍵をかけておくことを忘れなかった。スペアキーは事務局長室から盗んでおいて、事件で大騒ぎの中、そっと返しておいた。

「もう、丸山さん、みんな怪しくなりますでしょ」
雪華ちゃんは、どれもありえそうな話で頭がぐちゃぐちゃになってしまう。

「この場合のみ、無理やり飲ませたわけだから、鍵をかけておくことには意味があるなあ。そんなに簡単に取れるところに鍵を保管してるのは問題だよな。ただ、抵抗した証拠とかが体に残るんじゃないのかな」
とサミール君。

「CSIのホレーショーが調べてくれたらね、解決よ。1時間でね」
雪華ちゃんは、CSIマイアミシリーズの大ファンである。

「事務局のドアは開いてるけれども、その奥の事務局長室は、鍵がかかってるんです、夜などは。でも、そんなに神経質にはなっていなかったかも。今まで気にもしてなかったですから」

「それって、事務局長もアパートの部屋に簡単に出入りできるってこと?」

「サミール君、容疑者を増やさないでください」
と、笑いつつ、雪華ちゃんも、もしやなんて想像は膨らむのだ。それから景子さんに尋ねた。
「わかれへんわ。ところで、伊藤ってね、下の名前何って言うの?」

「えっと、大二郎です」
景子さんは、ノートをめくって確認する。

「二っていうのは、普通次男でしょう。兄弟はいないって?そうなんだ」

「ケータイ会社の犬のお父さんはジローですよ。次男かなあ」
と明菜ちゃんも、リラックスしてきた。

「大リーグのイチロー選手は次男ですってよ」
と丸山さん。スポーツも芸能情報も詳しい。

「いやいや、それは二番目だけど一番になってほしいっていう親心でしょう」
と、サミール君。

「そうよね。逆は無いかも。それくらいは、例の刑事さんに聞いてみたら?進展もこの際、直接聞けないのかなあ?」
とお手上げ状態で、口をはさむ雪華ちゃんだ。

「近頃は何も教えてくれないので、私も電話しづらくなりました。佳境にはいったのかなあ。『片がつけば、ちゃんと報告しますから、それまでには立ち直っていてくださいよ』、なんて言って私の心配なんかしてくれるんです。私はもう冷静ですから、ね、明菜ちゃん」

「そう……とも、見えない」
と、雪華ちゃんの言葉に、皆がうなづいている。

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