八事サーウィンストンホテル、Wカフェにていけばな講習最近、デジカメを持ち歩くのを忘れてますわ

2008年10月04日

DVD「明日の記憶」・・・極上のラブストーリー!

はい、こんばんは。     雪華ホーム

明日の記憶
明日の記憶荻原浩 砂本量 三浦有為子

東映 2006-10-21
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ついさっき、見終わったばかりで感動しました。・・・



病気もの、記憶喪失もの、ショッキングですからね映画の題材に多いでしょう?。私のちっぽけな先入観がまたしても、これを観る機会を遅らせてしまいました。

いけばなのお稽古中など、花鋏を、えっと、さっきこっち置いたけど、どこだどこだってしょっちゅう探している私ですから、若年性アルツハイマーに対する恐怖は他人事ではありません。

がんも怖いし、ぼけるのも怖いし、神様はなぜこんな過酷な試練を人に科すのかと恨みたくもなります。「博士の愛した数式」では、少しあざといかもと思われた脚色が、こちらでは、さらにリアル。

時に、冗談で介護の大変さをよく耳にするものですから、「ボケたもん勝ちだわね」などと言ったりしていました。現実に、病に直面する方からの訴えが無い(できない状況)ですから、想像するだけですが、本人も相当つらいのでしょう。わからなくなる状態が、突然、幾度も幾度も起こるわけで。このときの恐怖は、いかばかりなのでしょうか。
堤監督の「トリック」は有名ですが、この状況の独特の映像表現がこの映画ではぴったりはまったように思います。

いつもの映画感想と同様に、ネタばれしてしまいますが、

怖い、恐ろしい、惨めだ、もっと、イヤな言葉で言えば死んだほうがまし・・・という状況を、この映画は、覆してくれます。

その、覆し方が異色だと思いました。
ラストシーンが圧巻です。

また生まれ変わっても、やっぱり、あなたを愛します・・・なんて言えるのは、聖子ちゃん(古いか?)と、あと少数の方じゃあないかなあ・・・笑。そうありたいけど、わからんわ、正直なとこ、ね。例えば、記憶を無くして、まっさらな自分を生きることがあるとして、同じことを言える自信がありますでしょうか?

渡辺謙さんの役どころのバリバリ会社員が、若年性アルツハイマーを患うんですね。妻役の樋口可南子さんがね、けなげな、優しい奥様。二人が初めて出会ったのは、山間の陶芸教室でした。枝実子さんという名を教えてもらったときに、「いいお名前ですね」って、少しはにかむんです。まだ若い二人の初々しい、忘れられない思い出のひとつがありました。

夫の病状は確実に悪化していき、ある日、かつて通っていた、陶芸教室に迷い込みます。夜も明かしていますから、もう帰るべきところも彼にはわからなくなっています。妻は、なんとか、探しあてて、その山道で夫を見つけてかけよります。夫は、なんか血相を変えた見知らぬ女性を不思議そうに見るばかりです。妻の方も、様子がおかしいことに怪訝な表情ですが、一瞬にして状況を理解したことと思います。夫が、「これから、駅に向かいますが、ご一緒しましょうか?、大丈夫ですか?」って、心配すらしています。妻の方も、「はい」って、話をあわせてあげています。それから、夫は、自己紹介をして、あなたの名は?って聞くんですね。妻は、枝実子です、って当然答えますわね。そのあとに、夫は「いいお名前ですね」って、やっぱりかつてのように少しはにかんで、告げるんです。ここで、号泣!ですわ。妻が号泣するのは、自分の名前を忘れてしまった、ことに対する悲しみや嘆きではないんです。その種の涙はこの数年で何度流したかしれませんものね。

この人は、なんて誠実な人なんだろう、あのときと、ちっとも変わってないじゃない、同じ優しい人なんだわっていう感激の涙です。これから、始まるラブストーリーを予感させる、美しい場面ですらあります。これだけは忘れたくないと「えみこ」と彫りこんである自分で焼いた茶碗をこのときにも、夫は手にしてるんですよーもう、忘れてますけどね。過去と現在と未来が不思議にシンクロして、美しい時間が流れます。

こんな体験、熟年夫婦にはありえませんわね。病気のおかげ?と言ってもいいくらいな。神さまは、いるのかいないのか知りませんが、試練だけでなく、どんな状況においてもちゃんと幸福も与えてくれるのかなあと思わせてくれます。

つかの間の幸福はこれから起こる、現実の悲劇に打ち勝つ力を与えてくれることでしょう。もっと、アルツハイマーの末期になると、人が枯れ木のようになってゆくのだと聞きます。でも、植物は生きてるだけで、私たちを癒してくれるのです。人だって、動けなくても無表情になっても記憶がなくっても、家族の支えになるでしょうし、生きてること自体に価値があるはずなのです。命は、ただそれだけで尊厳に満ちているのですね。

ブラボー!!!でございました。


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